(写真左:髙木さん、右:梅本さん)
RA活動内容についてより理解を深めるため、大学直営寮WISH、早稲田専用寮WIDでRA活動をしている現役RA2名に、普段のお二人の取り組みや活動を通して成長した点を伺いました。
対談では、寮生に対する支援の気持ちや、チーム活動としての取り組み、多様な価値観への深い理解など、実際のRA活動を具体的なエピソードも併せ伺うことができました。またRA活動を通し、課題解決力や主体性、多様な価値観への理解、チームと協力する力など多くの学びや成長がある事を知る貴重な対談となりました。
下記対談の一部を抜粋してご紹介します。
Q1:自己紹介をお願いします。
髙木さん:WID西所沢でRAをしています。髙木綾乃です。RA活動は3期目になります。
梅本さん:国際学生寮WISH RAの梅本華と申します。同じく3期目で、WISHで、総務部署の一員として活動しています。
Q2:お二人の寮の特徴、RA活動で意識しているところを教えてください。
髙木さん:WID西所沢は、約40人の寮生が住んでいます。
男女混合寮で寮生は共有の食堂に集まってわいわいしているような寮です。そんな寮内での活動において意識していることの1つとしては、もう一人のRAと協力していくことです。西所沢はRAが2名体制なので、RA同士での意見が対立していたりすると、その影響が寮生にそのまま及んでしまいます。だから意見の対立は妥協ではなくて、より良い方法がないかを考えるようにしています。
また、寮生の学年や学部を超えた縦、横のつながりを絶対に切らさないという点は2人で共通してずっと意識しています。
もう1つ個人的に気を付けていることは、RAだからといって全て背負いこまない、バウンダリーを自分で持つようにすることです。寮生が困っていたら自分ができる範囲で手助けをするようにしています。
梅本さん: WISHには国際色豊かな800人の寮生が住んでいます。
ただコロナ禍の影響もあり、海外で育った寮生と日本で育った寮生の間で溝が生まれていて、そこを埋めることを強く意識しています。今は特に小規模なコミュニティづくりに取り組んでいて、例えば映画が好きな寮生やカフェをめぐるのが好きな寮生をつなげたり、寮生の声を拾いながらRAとして働きかけを行っています。寮生からはWISHでの生活が楽しい、WISHで一番お友達ができたという感想ももらっています。
また国際学生寮WISHのRAは現在34人ほどいますが、自分の価値観を押し付けず、お互いの適材適所で協力することを心がけています。私はWISH RA組織内で総務部署というRAをまとめるような部署に所属しているのですが、RA同士での支えあいを大事に活動することで、雰囲気の良いRAチームを目指しています。
個人的な活動としては、寮生一人ひとりとの関係を大切にすることを特に意識しています。
もちろんRAはそれぞれが、「寮をよくしよう」という思いを持っていると思いますが、その前提として、寮生が暮らしやすい寮生活や、居心地のいい場所の提供が一番目指すべき点だと思っています。入寮しての初めの頃は「入寮して最近、学校生活どう?」など本当にたわいない話から始まって、だんだん「今、悩んでいることとかある?」とRAから率先して寮生に話しかけることで、寮生も悩みを打ち明けやすくなるし、「私自身こういう悩み抱えていたよ。そのときはこんなふうに乗り越えたよ。」と自身の体験談等も話すことで、一緒に解決策を見つけていくことも大事にしています。
Q3:RAってどんな活動、どんな存在だと思いますか?
髙木さん:寮生にとってのRAは、同じ空間に住んでいる頼れる先輩という存在だと思います。学業や生活に関して相談にのってくれたりアドバイスしてくれたり、寮周辺などのお店についても教えてくれるような学生生活をサポートしてくれる存在。
RAはそんな“頼れる存在”であると思っていて、私もそうありたいと思っています。
そして、RAからみたRAは「すごい」という一言につきます。
梅本さん: そうですね。RAはすごいパワフルな人が多いなっていうイメージがあります。
何かに挑戦するときに、自分の成長のために目標達成に向けて頑張れる人もいるけれど、やっぱり自分のためだけっていうのは限界があるなと思います。RAには、自分の頑張りが誰かの幸せにつながる、人のために頑張るというモチベーションで活動している人が多いと思います。だからこそ、難しい問題とか困難があっても乗り越えることができますし。人のために貢献したいっていう人がいっぱい集まって、その思いにみんなが共感しているからこそ、お互いに意見を持っていたとしてもあまり衝突しないで、寮生のためにいいものを作り上げていく、同じ方向に向かっていけるのかなと思います。理想を求めていく同志みたいな感じです。
髙木さん:スキル面で考えると、他人の意見を尊重したり、他人の意見と自分の意見の折り合いを昇華していく、より良いものにしていく能力が高い人が多いなと思います。
―それはもともと持っていた素質でしょうか?―
髙木さん:私はどっちかっていうとRAになる前は持っていなかったと思います。でも他人の意見を「そうじゃない」って思うことによるメリットより、「それもいいね、じゃあどうしよう」って考えることのメリットのほうが圧倒的に大きいなってことにRA活動を通して気づきました。イベント企画でも様々な人の意見を巻き込んで行く方が、いいものになっていったし、自分としての満足感も、寮生の満足感も高かったです。そういう経験を通して、他人の意見もちゃんと聞こう、尊重しようとより思えるようになりました。
梅本さん:私はもともと相手の意見を聞き入れることは心がけていたけれど、自分の意見を伝えるのが苦手だったかなと思います。自信のなさもつながって…。
でもRAチームの中で、自分のアイデアや意見を聞き入れてもらって、その意見に皆の意見が合わさってさらにいいものへパワーアップしていく過程、経験を通して私ももっといいアイデアを出そうという向上心が芽生えました。
Q4:RA活動を通して、成長した部分や学んだ部分をさらに聞かせてください。
髙木さん:先ほども言及しましたが、相手の意見を聞けるようになり、他人とうまく折り合いをつけて良い物を作っていく、衝突するのではなくて、昇華させていくことができるようになりました。また適切なコミュニケーションの仕方も身に着けました。時と場合によって自分がどういう姿を求められているのかを考えて、行動できるようになりました。
梅本さん:私は意見の出しやすい雰囲気を作るスキルを身に着けられたと思います。グループで話すときはアイスブレイクをしてみんなが意見を聞きやすい/受け入れやすいような場づくりをしたり、意見を言ってくれた人への拍手やフィードバックなどが自然にできるようになりました。また、相手の気持ちを汲み取るのもうまくなったかなと思っています。今までは、自身の経験の範囲内で、「相手もきっとこう思っているだろう」と考えてしまっていたけれど、RA研修等を受けて多様性や他者理解を深めることで、人それぞれの考え方や、コミュニケーションが違う事を理解したので、自分の意見を押し付けず、相手の最善は何かを考えられるようになりました。
髙木さん:それって、理論の段階では「当たり前」と思っても、RA活動を通してどこかの段階で、「あ、私ってこんなに理解できていないんだな」って思う瞬間がきますよね。
例えば、私は何か頼まれたら期日関係なくすぐに対応するタイプなのですが、期日に忠実で時間ぴったりに間に合うように対応する人もいる。「なんですぐ対応しないの?」と疑問に思ったこともありました。自分は言われたらすぐ対応するのが当たり前で、言われたらその瞬間にメールも返すし、LINEも見るのが当たり前。でも、それってみんなの当たり前ではないんだな、と。自分が当たり前だと思っていたことが、実は相手にとっては当たり前ではない、と気づいた経験があります。
梅本さん:RAの組織内で、仲良くなりやすい人、自分とタイプの似ている人はいます。友達としてだったら、自分の意見をすぐにわかってくれる人、価値観の近い人とだけコミュニケーションをとるのも良いかもしれないけど、RA活動、寮生のための組織内と考えたら違う。自分とタイプの違う人にも積極的にアプローチして、コミュニケーションをはかって協力することで化学反応が生まれる、RAとしての成果を上げられると思うので、その点を努力しています。
また、私は物事をストレートに言われると結構傷つくタイプで、相手に何かをつたえる時はクッション言葉はさんだり直接的表現を避けることが多いです。他のRAからストレートに意見を言われたときには、「なんでそんなに直接傷つくようなことをいうの?」思ったこともありました。でも言った側は、ストレートに伝えた方が一緒に目指す目標達成のために効率もよく明確で、効果的だと考えていました。結局はお互いRAチームの仲間として同じ目標を目指しているわけだから、目標や価値観のすり合わせをしたら良いと気づいたこともありました。
髙木さん:私は意見をまっすぐ言うタイプだし、どこでも発言できるタイプだから、意見を言うときにひとクッションおくとか、アイスブレイクをするとか、話し手への拍手とかってなくてもいいような気がするし、そういうのって優しさであって、不必要なものだと考えていました。でもそうじゃないよねってことにRA活動を通して気づきました。優しさだけに見えていたものは、会議をしていく上でむしろ必要なもので。RAの会議やチームでの活動を行っていくうえで、不要な「優しさ」ではなく必要な「配慮」だなと気づきましたし、これから行動する中で、意識して取り組みたいなと思うようになりました。
Q5:最後に、これから活動を通して成長させたいこと、今後の目標を教えてください。
髙木さん:個の人間として、もっと人間味のある人間になりたいです。今まで私が経験してきたことって、全部タスクやスキル的な面で何ができるかを見られることばっかりでした。大学受験なんてそうじゃないですか。勉強ができる。TAだって、教えるのがうまい、採点が速い。インターンだって、仕事ができる。でも自分っていう人間性にフォーカスされる経験が人生でほとんどなかったと思います。なので、どうあるべきか、どうありたいかってことを考えるのも自分がRA活動を通してやりたいことですし、それにどんどん近づく努力をするのも自分が活動を通してやりたいことです。目標は、自分がなりたい人間ってどういう人なんだろう、それになるためにはどうしていったらいいんだろうっていうことを考えていく、そして実行していくことが、自分がRAを通してやりたいことだと思います。
梅本さん:ハードル上がりましたね(笑)
私は今まではMUSTでしなければいけないことに重点的にやってきたので、これからはWANTしたことをWILLに変えていけるようにやっていきたいなって思います。具体的には、最近RA募集の寮内広報を担当して、RA活動ってこんな活動ですよという説明会をしたのですが、今後WISHがより良い寮として続いていくために、私たちの意思を継いで一緒にWISHを作り上げてくれるような方に、どうリーチできるか考えていきたいです。また、今後RAになってくれる人が私たち以上のモチベーションで活動していけるような組織づくりやアプローチを考えていきたいです。